脆弱者で行こう

モテない中年のただの日記です

「いやっ」って呪いの言葉だろ

会話の際に「いやっ、~」と言って話し始める人間をよく見かけるが、相手に与える印象としてはプラスにはならないだろう。この話し方のクセは本当に厄介で一度身についてしまうと中々取ることが出来ず、この話し方をしているうちは異性にはもちろんのこと同性からもモテなくなるということを呪いにかけられた人間の立場から解説していきたい。


この「いやっ」には否定語と謙譲語の二つの意味が含まれており、本人は否定というよりは謙譲のつもりで「いやっ」を使っているのだが、相手からするとそんなものは関係なく額面通り「いや → 嫌 → 否」と受け取られることが多い。このフレーズは人生であまり褒められたことがない万年ブービー賞たちが好んで使うことが多く、褒められた際「えっ!今までそんなこと言われたことない、、。やだ。どうしよう、、。恥ずかしい」という羞恥心に耐えきれず、自分を下げることでバランスを保つために「いやっ」を使っていることを徒競走一位・二位の人たちにはご理解いただきたい。

「つーかよー。褒めてるんだから素直に喜べよ」と言われれば、おっしゃる通りでございます。一言でいうと「いやっ」の使い手というのはもれなく偏屈野郎なのである。ここで大事なのは元々偏屈野郎が好んで「いやっ」を使うのか、「いやっ」を多用していくことで偏屈野郎になってしまったかであって、自己弁護をするわけではないが大半の人間は後者ではないだろうか。発せられる言葉というのは、魂を宿した言霊となって人格を作り出すのだから最早ただの「音」というよりは「化合物」という認識でいいだろう。


人格の上塗りのために私が使用した化合物は「うん、~」であった。何だそんなことか、と思われるかも知れないが「いやっ」の呪いにかかっている連中にとっては簡単に出てくる言葉ではなく、絶対話し初めにはうんって言おう。言わなきゃオレはうんこ以下だ。くらいの強い決心が必要なのである。


「うん。いいですねそれ」
「うん。なるほど。参考になります」
「うん。ゴメン。もう一回いい?」


ものすごく簡単なフレーズなのだが効果は抜群であった。
文章上で見てもこれだけキレイなのだから実際に笑顔を用いた場合のプラス効果はすさまじく、これだけで全ての人間関係が解決するんじゃないかと思わせてくれるほどだった。

が、本当にこれでいいのか?
確かに素直にはなっただろう。事実、敵の割合は明らかに減った気がする、、。
だが、つまらん。プラス要素一択なんて化合物じゃない。透明な小便と同じでなんの面白味もない。オレが興味のあるのはピッコロ大魔王のような紫色の血と口から卵を産むような奇特性だ。そもそも偏屈な人間の何が悪い?心の中まで素直な人間なんて本当に存在するのか?あの素直な悟飯だってセルの前じゃ調子乗っていたじゃないか。

平凡な人間関係を過ごす一方で、何かものすごく大事なものまで失われていくような気がしていた私はこのまま悩んでいても埒が明かないと思い「うん」と「いや」の使用割合を数値化することにした。

今までのデータからすると表面上の会話は「うん」と「いや」の割合を9:1にするのが良いだろう。オレはいじるのがあまり上手くない。ただ、全肯定されても気持ち悪いだろうからスパイス程度に否定も混ぜる。これがベストだ。
だが、心の会話ではコレが裏返る。9割否定だ。否定こそ笑いの原動力だ。争いごとが嫌いな人間はこうやって一人笑点を楽しめばいい。



この黄金比を証明する絶好の機会がある日突然訪れた。
その時とは社用車で経理の女性と二人きりで出かけたときで、最近真人間に見えてきた私をその女性が指名してくれたのであった。

オイオイオイ。こんなこと今までなかったぞオイ。
ずっとあなたウジ虫見るような目でオレのこと見てたよね。まぁそのサバサバした視線も良かったんだけどさ。はいその通り。ちょっとタイプでございます。

「あ~よかった~。ホントありがとねZEN吉くん。一人だったら絶対終わんなかったわ。なんか最近変わったよね。見た目は変わらないけど何か話しやすくなったよね」。

オーイ!!
それただのブサイク認定!!
あなたも言うほど美人じゃないからね。真希波マリに見えなくもないけど、そのメガネかけたら全員マリに見えんじゃん。とゆうか最近劣化してどっちかというと初号機に見えなくもないような、、、。
おっと。まずいまずい。9割肯定だったよな。

「うん。それはありがたいっすね。役に立ててうれしいです」

「そうそう。そうゆうところが変わったよね。前だったら目っていうかさー、顔全体が泳いで窒息しそうになってたよね」。

ホントそれ??
そんなに酷かった??あんたのイメージだろ。絶対変なあだ名つけてただろ。

「うん。そうだったかも(笑)。やっと普通の人間になれましたかね?ははっ」

「いや、全然普通ではないんだけどさ。アタシって男運ないじゃない??それで試しにZEN吉くんの情報調べてみたんだよね」

「ん?うん?」。

ん?何で?
何がそれでなの?何を試すの?何で男運ないの?それは多分あなたの問題じゃないの?

「ZEN吉くん年収はショボいんだけど、あなた確定拠出型年金やってるわね。どうして結婚できないくせにそんなことしてるの?これにはちゃんと理由があるの。あなたが給油しているガソリンスタンドの近くに必ずレンタルビデオ店があるの。何を借りてるの?つまりね、、」

ヤ、ヤバい、、。
否定が追い付かない、、。
コイツは危険だ。経理という職権を乱用しまくってやがる。

「つまり、あなたの使っているお金は全部アタシに使った方がいいの。風俗に通うお金をケチってAV借りている男なんて一生結婚できないものよ。アタシは生理的にムリだけど友達を紹介することならできるわ。あなたの情報は受け渡し済みよ。もちろん紹介料はもらうわよ」。

ダメだ。情報量が多すぎる、、。
否定も肯定もできない、、。

「さぁ、どうするの?さっきから頷いているけれどそれはイエスってこと?」

「う、うーん、、。いやぁ、、」

「それはどっち?うん?いや?あんまり怒らせないで」。

いや、今のいやはAVの悲鳴のイヤァーーッというかNewYear正月まで待ってくださいというか、、。
うんは決してイエスではなくて、、運というか、、。
ヤバい、、。何も考えられない、、。マジでうんこ漏らしそう、、。


「どっちーーっ!!!」


うわぁぁぁ。眼輪筋がピクピクしてやがる。
山岸由花子、暴走モード突入だぁ!
こ、殺される、、。殺されるけどハッキリ言おう。


「いやっ!!やめときます!」


しーーん


「そう、、、。やっと心の声が出たわね、、。あなた。あまり自分の長所を無くすようなことをしてはダメよ。久しぶりに窒息しそうなムラサキウニみたいな顔が見られてよかったわ。今日はありがとね」。

バタン、、、。



うん。女の子ってわからない。