脆弱者で行こう

モテない中年のただの日記です

山よ、オレの恋路を邪魔するな

根が甘えん坊の私は年上の女性に恋に落ちることが多いのだが、私もいい年である。当然、相手の年齢も高くなるのだが、彼女たちには絶対に太刀打ちできないパートナーがおり、いつも煮え湯を飲まされる。おい山。いいからお前は座ってろ。




何も私は山が嫌いなわけではない。
何て素敵な奴なんだ!ゆえの嫉妬だと思ってもらって構わなく、素敵な奴というかズルい奴だろう。シンプルに「山」と魅せといて、小山・大山・雪山・恐山などジャンルを絞ればキリがなく、迂闊に「僕、山が好きなんですよね~」と言おうものなら全ての女性から泉ピン子の如きバッシングを食らうだろう。


いや、そもそもね、このネーミングに問題があるんだよ。何だよ「山」って。こんなアホな字ねーだろ。平仮名にしちまえよ。のクセに中身は福山+ブラピ+大谷+、、、と来たもんだ。もうギャップ萌えどころの騒ぎじゃねーんだよ。金魚がフンに食われてんだよ。
何だよ「~山」って。その最後に付く山っている??富士山じゃなくて富士でよくない??いい加減一人立ちさせてやれよ。イケメンの優しさも時には罪になるんだよ。


こういうどんな服装も似合うモデルは、雑誌で眺めている程度がちょうど良いと思うのだが彼女たちの見解は違うらしい。


「山登りって結構色んな所行くんですか?」


禁断の質問だと分かりつつも、コレ以外の切り口を知らない私の初デートはいつもこの手のスタートになる。


いや、オレだってさ、こんな元カレを探るような質問したくないよ。でもさ、趣味の欄に書いてるんだもん。でっかく。「ハイキング・山登り・トレイルラン」って、、。何がどう違うの??ディーンフジオカと藤岡弘くらい違うの?分かりやすく教えて下さいお姉さま。


「アタシはあんまり色んな所行くわけじゃなくてー、そうだなぁ、、一つの山を大事にするってゆうかー、春はお散歩、夏は登山、秋はトレラン、冬はスノボみたいな感じで(恋)」


つまり??
アナタのその恋に落ちてる相手はディーンなの??弘なの??オレにもチャンスはあるの??


「あっ!ごめんね。ついつい夢中になっちゃったね。それでZEN吉さんも景色を眺めるのが好きなんでしょ?例えばどんな景色?」


ふぅ、、。これはセンスが問われるな。
景色は好きだ。これは本当だ。だが目的は魂をどこかに飛ばすためであって生き物が視界に映らなければ何だっていい。山だって海だって工場だって、、。しかし、コレをそのまま伝えるのはナンセンスだろう。自分の色を出しつつ本音を言おう。


「もちろん山が好きですよ。でも最近は、、うーん、何だろう、、季節が感じられるカラフルっていうよりかは、、」


「うんうん!よりかは??」


よし。いいぞ、、。
やっとオレの方を向いてくれたか。


「枯れた同系色に惹かれるんですよね。灰色とゆうか焦げ茶色ってゆうか、、。何かあーいう景色も落ち着くなぁって」


「わかる!!わかるよ~!!アタシも若い頃はカラフルな色合いが好きだったんだけど、今は枯れた岩肌も好きなの。すごい落ち着くの。ZEN吉くんって趣が深いんだね(恋)」


グッバイふじおか。ここからはオレの時間だ。
でも、ごめんなさい。僕は若い頃もカラフルな山に興味がないんです。なぜなら見に行く相手がいなかったから(泣)


現在進行形で悲しい奴である私に同調してくれたのか、彼女は聞くモードになっており、こういうパターンになるとモテない奴は必ず調子に乗りそして失敗する。


「ははっ。趣が深いなんてそんな。僕、灰色が好きなんですよね。石とかコンクリートとか」


「アタシも好き。ステンレスの食器とかカーテンとか」


来たぞ来たぞ。
これ最後に「アナタ」で終わるしりとりだろ。


「爪とか銀歯とか」


「えー!変わってるねー。アタシは服装もグレーのパンツスタイルが多いかも、、。それくらいかなー」


へー。いつもグレーのパンティ履いてるんだ。コットン素材かな。奥の銀歯もキレイだな。触ってみたいな。


「ちょっと何言ってるんですか!食事中だよ!」


げっ!!
声に出てた、、。
つーか紛らわしいこと言うなよ。ズボンって言えよ。


「そこまで行ったら趣が深いって言わないよ。倫理観の問題だよ」


「はい、、。すいません、、」



こうなってしまうとモテない奴の顔面はみるみる土色になっていき、モグラとなって逃げたしたくなる。当然そんな奴との会話はつまらない。


どうすんだよこの空気、、。
だって、好きなこと言うタイムを仕掛けてきたのソッチでしょ?つーか「山」オマエ責任取れよ。お前がハッキリしないから彼女もオレも落とし所がわからなくなるんだよ。


「あ、あの、、」


「何ですか?」


うわ、まだ怒ってるよ、、。めんどくせー女だな。
山よ、オレを助けろ。


「さっきはすいませんでした。僕少しドライな一面もあってこうゆうこと言っちゃう時もあるんです。だから、もう少しエネルギッシュなことしたいなって、、。良かったら○○さんと山登りしたいです。連れてって下さい」


「うーん、そうゆうことなら、、」


そうゆうことなら??
一人で行け?アタシと山Pの邪魔しないで?


「いいよ!一緒に行こう!案内してあげる」


エス!!
ナイス山P!そろそろ彼女を解放してやれ。



彼女の機嫌はすっかり元通りになり、すんなり二回目のデートに持ち込むことが出来た。しかもプランは全て彼女任せで、こんなに楽しみな次回予告もないだろう。
プラン決定のメールが届いたのは二ヶ月後。それだけで彼女の本気度が伝わって来るだろう。


「久しぶりです。連絡遅れてごめんなさい。ZEN吉くんと行く登山道の下見してたんだ。何個か候補があるから教えるよ」


う、嬉しい、、。
めっちゃ調べてくれてますやん。正直もうフラれたと思ったよ。コレは嬉しい、、。
のか??ちょっと本気度が強くないか?オレ的にはその下見に同行するくらいが丁度いいのだが、、。まあ、いい。デートコースを聞こう。


「ありがとうございます!楽しみですね!何処ですか?」


「ZEN吉くん、絶壁の岩肌が好きって言ってたよね?だから必然的にコースも上級者向けになるんだよ。それじゃ言うよ。○○山~コース(親不知)、○○山~コース(白骨林)、○○山~コース(森林限界)。どうかな??」


いや、死ぬだろ。
名前からしてやべーだろ。調べる気すらなくすわ、、。とゆうか絶壁登りたいなんて一言も言ってないから、、。完全に世界入ってるだろ。


「え、、と。すごい楽しそうなんですけど、、。もう少し軽いのはありますか?ついて行けなくなっても迷惑かけるので、、」


「えー!やっぱりキツかったかぁ、、。あとの岩壁はねー、、。○○岳と○○岳くらいかなー」


おいタケシふざけんな。
お前は出しゃばんな。それ死人出てる山だろ。だから岩壁から頭離しなさいって。あんたイカれてるよ。そもそも浮気しまくってるじゃん。一つの山を大事にするとか言ってなかったっけ??


「すいません。○○岳はちょっと、、。もっとハイキング的なのじゃダメですか??○○さんとの会話も楽しみながら登りたいので、、」


「う~ん。そう言ってもらえるのはありがたいんだけど、、。ふう、、。アタシ今回の登山で知ったことがあるの」


「へぇ、、。まだ知ることあるんですね?何ですか?」


「アタシって山が好きなんだなぁって、、。つまりね、、」


つまり??
もう分かったけどやさしく言ってね。


「アナタじゃ全っ然!!物足りないのっ!!」


うん。倫理観。
あなたのソレは何色だ??





山に罪はない。
山は山であるべきである。
でもね、、。
もう少し低くてもいいんじゃない??