脆弱者で行こう

モテない中年のただの日記です

共生とは心の矯正のこと

共生=共に生きる。素晴らしい言葉ではないだろうか?結婚相手など大切なパートナーとの生活に意識する言葉だと思うのだが、私にそのパターンは無縁である。私に当てはまるのは古い実家での虫や小動物、彼らとの暮らしにピッタリとくる言葉である。



南国ではどうかわからないが、私の住んでいる北国での彼らとの生活を四季で表すと

春 → ハエ 数少。

夏 → 蚊、ハエ、ハチ 数多。   カエル、ヘビ 数極小。 

秋 → カメムシ 数極多。

冬 → カメムシ 数多。   ネズミ、アライグマ 数極小。

と、なり、古い家屋内だと一年中アニマルパラダイスとなることがお分かりいただけるだろう。私的には秋・冬がハイシーズンだと思っていて、寒さを凌ぐために床下には換気口からネズミが入ってきており、そのネズミを食べるためにアライグマが手をガサガサとこまねいている。居間の天井ではストーブの暖気を浴びたカメムシがブーンと非常に不快な音をたてながら飛んでいて、その飛行も不規則なもので髪や肌にくっつくことが多く、呪いたくなるくらいの異臭を人体に付着させてくる。

このカメムシってマジで何なの?
オマエら自分の臭いで死ぬことあるんだってな?じゃあ最初から生まれてくんなよ。マジでイラつくから。そのガニ股な歩き方が最高にムカつく。誰だよカメムシって名付けたやつ。カメの方が一億倍かわいいから。カメに謝れよ。


こいつらの駆除にはちょっとしたコツがあり、絶対に潰してはならない。彼らは打撃にはめっぽう強く、デコピン程度の打撃では少しフリーズした後、くう~効いたぜ~と言ってピンピンしながら歩きだす。かといって上から潰すような攻撃を与えてしまうと、自らの死と引き換えに呪いのような死臭を床面や指に残してこの世を去っていく。
彼らの駆除の最適解は、ブーンと気持ちよく飛んでいる時にハエたたきで叩き落とすことである。普段は鋼の甲羅に覆われている彼らもこの時ばかりは無防備な遊覧飛行を楽しんでおり、軽くでもヒットすれば確実に30秒は動きを止めることができる。もちろん、不規則な飛行をしている彼らに一撃をお見舞いすることは至難の業なのだが、私の経験上これは技術ではなく気持ちの問題であり、てんめぇー!ぜってー殺す!と息巻いているうちは命中率10%といったところであろう。大切なのは、スミマセンちょっと失礼いたします、といった接客するようなマインドチェンジをすることで彼らの油断を誘い命中率が50%まで跳ね上げることができ、ウソだと思った読者はぜひ試してみてほしい。見事ヒットした後も決して油断してはならず、奴らのまとった死臭液はティッシュペーパーを貫通してくるくらいの破壊力を秘めており、ガムテープのようなビニール製品でやさしく包み込むように退室をお願いするのが正解である。

説明を聞いてわかるようにカメムシというのは特定危険生物であり、そもそもこんな迷惑な客など家屋内のありとあらゆる隙間を埋めて入店拒否しまえばいいのだが、私の両親は「あら、今年はカメムシ少ないのね、、」などと季節の風物詩のようにとらえていて、なんの対策も練らずにウェルカム状態なのである。

マジでお前らのその考え方理解できねーわ。
カメムシに命でも救われたことでもあんのかよ?いつだがカレーにカメムシ入ってた時はマジでこの家にいるのイヤになったわ。それがトラウマになって店でカレー食う時、かき混ぜて確認するクセついちまったじゃねーか。おかげで変人扱いじゃねーかよ。責任取れよバカがよ。


カメムシの件はこれくらいでいいだろう。
1cm程度の虫に振り回されるメンタルなどたかが知れているのだが、それが小動物となると話が変わってくる。私は人間以外の生物は絶滅してもいいと思っているくらいの博愛主義者であり、元々そういう人間なのか育った環境のせいなのか、どうしてそういう考えになったかは不明だが、おそらく後者であろう。


まずは我々に一番馴染みの深い「ネズミ」。

はい。気持ち悪いです。
動き速すぎ。しっぽ長すぎ。ドブネズミに至ってはただのゾンビだろ。タイラントかよ。
ディズニー好きの女子ってミッキーが好きなの?それホント?だったら女子にモテないオレはゾンビ以下ってことですか?もしゾンビになったら愛してくださいね。

このゾンビが私の実家では所狭しと駆け回っており、初めのうちは勇気を振り絞って軍手を三十重ねで捕獲を試みていたのだが、捕まえた後のしっぽが軍手からはみ出す感覚がマジで気持ち悪く、アレを気持ちいいという者がいるなればソイツは確実に真性の変態で、どんな店からも入店拒否されるだろう。私はコイツらの捕獲に原始的な手法は無駄だと感じ、粘着シートや毒エサを使った方法を両親に促したのだが、彼らの返答は渋いものであった。

「えぇ、、、。そんなことしたらネズミ死んじゃうんじゃない?何も悪いことしてるわけじゃないんだから捕まえて逃がすだけでいいんじゃない?」。

よくねーんだよ。しっかり殺すんだよ。
お前らが逃がしたネズミ1分後には家の中に入ってきてるから。たまにお前らの生き物への愛情に恐怖を感じるわ。
この前粘着シートに絡まったネズミ助けるために無理やり引っ張ってたよな。そのネズミどうなった?皮だけ剥がれて死んでたよな。マジでこれ以上の拷問ねーだろ。悪魔かよ。

彼らとの話し合いは無駄だと思った私は、大量の罠を仕掛けるためにコッソリ床下に潜ってみるとそこでは実写版のトムとジェリーが放映されていた。


「シャーー!!」

と唸っているアライグマが暗闇で目を光らせながらネズミを追いかけており、急に登場した私の姿に驚いたトムは手をガサガサさせながらコッチを威嚇してきた。トムとしては突然現れた人間によって、まさか自分がジェリーの立場になるなんてと思ったらしく、だがその思いは私とて同じである。


「ギャーー!!」

と驚いた私は手に持っていた懐中電灯を落とすと、飛び上がった拍子に頭も打ち付けパニック状態になっていた。たしか当時中学生だったと思うが大人になった今でも同じリアクションを取るだろう。

「チューー!!」「シャーー!!」「ギャーー!!」と三者三様の鳴き声を放ちながらするドタバタコメディーは撮影者さえいればアカデミー賞にノミネートされるくらいの傑作に仕上がっていたと思うのだが、コレは私の脳内だけで完結する自作自演作品として生涯の宝にしようと思っている。

床下で繰り広げられるコメディーを何事かと思った家族によって救出された私の興奮はしばらく冷めず、放つセリフも意味不明なものが多かったという。後で聞いた話によると服は糞やら泥やらがこびり付き、頭からは流血。それでいて「し、シートン動物記」「家賃払わせろ!!」「アライグマ」などと訳のわからないことを言うものだから心配になった両親が落ち着かせるために私に言った言葉が

「あー、アライグマね。あの穴から入ってきたのね。でも、そのくらいで騒いでたらこの先、人とやってけないわよ」。

であった。

それを聞いた私は、何でその穴ふさがねーんだよ、と強い憤りを覚えたのだが、大人になった今、短いながらも他人との生活を経験するうちに分かってきたことがある。


共生とは心の矯正のことである。と。