脆弱者で行こう

モテない中年のただの日記です

「オマエがな」

このセリフは私が言ってみたいランキング一位のセリフであり、大事なのはどのシチュエーションで使えるかである。理想は罠を仕掛けてきた相手をさらに罠にかける時に発することができれば最高なのだが、その夢はまだ叶えられずにいる、、、。


「クックック。この穴に落ちたオマエに助かる道はない、、。死ねぇぇーー!!」

「オマエがな」。

と言って、華麗なる大逆転を決めたのち、相手の絶望顔をたしなめる。理想はこうである。だが、現実は

「ZEN吉って、何でモテないんだろうなー。デリカシーないからじゃない?」

オマエがな、、。

心の中でそう思い、復讐を誓うのみである。

コイツ絶対いつか殺す、、、。
イジるの下手なんだよオマエ。かといって褒め上手なわけでもないし、、。何で結婚できたのアンタ?よっぽど相手、切羽詰ってたんじゃない?

私は人を嫌いになるくらいなら逃げてしまえ、という考えの持ち主なのだがこの男はハッキリ言って嫌いである。この男は、否定こそがコミュニケーション!だと強く思っており、ゼロ距離同士でキャッキャッと話すためにそれは大切なことだと私も思うが、相手との距離が遠いうちは肯定こそが正義だろう。そのうえ彼はイジリ上手の仲間に囲まれることで自分もイジリが上手いと勘違いしているのも厄介で、イジリとはただの才能であり、凡人は余計なことはせず共感力の教科書でも買って勉強するくらいが丁度いいのだが、どうやら彼にその気はないらしい、、、。

この男、イジられる方には耐性があり、それが彼の長所なのだが、「オレはこういうコト言われても全然平気!!」という基準をそのまま他人に当てはめてしまうことで、見事に長所が短所にすり替わってしまっている典型的なデリカシーがない奴になっていた。いじられキャラということで彼の周りには面白い人が多く、彼から完全に距離をとることはその人達とのつながりも切ることになりかねず、私は逃げる決断ができずにいた。

いやぁ、、ホントこの人苦手、、、。
苦手って用はキライってことだからな。みんな上手く言いかえてるけど全然かわってないから。カフェラテとカフェラッテくらい同じだから。
いやさぁ、べつに悪い人じゃないんだけどさぁ、、、。

コレも悪い人によく使われる言葉であって、私的には「アイツは悪人だ」と堂々と言われる人間の方がよっぽどマシな気がする、、、。

だってすぐ逃げれるじゃん。コイツみたいな中途半端に仲間多い人間が一番めんどくさい、、。とりあえず、こんなこと思っててもダメだ。思考法を変えよう。

私の出した結論は、夢の実現のキャストにこの男を任命することであった。

少々、役不足だがコイツに「オマエがな」を引き出してもらうことにするか、、。
コイツは罠を張るタイプじゃないから、オレがあえて人工的な罠を作らないと行けないんだよな、、。そんな自作自演のフィクションはクソつまらんからやりたくなかったんだが仕方がない。このままストレスを感じてるよりは百倍マシだろう、、。


ストーリーの構成とはクライマックスから逆算すればいいだけで、最後にこの男に吐かせるセリフはもう決まっていた。

「ZEN吉って、もし結婚しても絶対別れるよな」

「オマエがな」。

このセリフを吐かせて一カ月以内に離婚を成立させることができれば夢は達成したと言ってもいいだろう。もちろんオレは犯罪行為などしないしコイツの家族と関わるつもりもない。オレがすることはシンプルに褒めるだけだ。ただそれだけでコイツはオレの脚本通りに動くだろう。


「○○さんて何歳になってもモテますよね」
「○○さんってイジリやすいから誰からも愛されますよね」
「ホント、コミュニケーション能力高いですね」


ベタだがこれらの言葉を浴びせ続けると、この手の人種は自分のコミュニケーションは完璧だと錯覚し、まぁ、わかりやすく言うなればキャバクラの客状態になり、それが私の狙いであった。

くくく。いい感じに仕上がってきたな、、、。
自分のコミュ力が高いと思っている奴は変化を嫌う。オマエはこのままデリカシー0のいじられキャラを脱却できないまま地獄に落ちる。
いいか?
オマエは自分がいじられた分だけ、他人をいじってプラマイゼロだと勘違いしているがそれが許されるのは一部の才能のある人間とキャバクラ内だけだ。正解はいじられた分だけ相手を褒める。これでプラマイゼロだ。
オマエはちゃんと奥さんを褒められているか?
ワンパターンなキャラしか持っていないオマエはおれ達に対する態度と変わらないんじゃないか?そろそろ子供も大きくなってきただろう。女性は何歳になってからでも輝くぞ。世の中はオレと同じく年上好きの男であふれているはずだ、、。それを見逃す彼女たちではない。



クライマックスが近づいていた。

最近この男は嫁の話を全くしなくなっており、それ自体は普通のことなのだが、他人の嫁というか家族の話にも希薄になっていた。

来たな、、。そろそろ最終確認をしておくか、、。

「○○さーん!オレ、キャバクラ行っても全然会話盛り上がんないんですよねー。ただ褒めてるだけじゃダメなんすかね?」

「そんなの当り前よオマエ!!キャバ嬢なんて褒められ慣れてるんだから、もっとコッチも傷つくけどアッチも傷つけるくらいの距離感でバシバシ行かないとよー!!」。

そう言っている彼の表情は、カイジに出てくる「ニヤァ」とした効果音が聞こえてくるほど歪んでおり、完全にキャバクラ漬けのゼロ距離ドランカーに仕上がっていた。

よし!!
マリオネットの完成だ!!
どうする?
今言ってしまった方がいいか?
コイツの奥さんはとっくにキャバクラ漬けに気付いているだろう、、。半年前から離婚を決心していると考えて、、、。今は2月だから、、、、。入学式が4月だとして、、、。あ~!もう分からんけど言ってしまえ!!

「そういえば○○さんの子供って何歳でしたっけ?」。

この質問で彼の表情がドランカー状態から慈愛の表情へと変化しなければ、勝負は私の勝ちである。子どもへの愛情を失った父親など穴のあいた靴下と同じで、即ゴミ箱行きである。

「ええと、何歳だっけなぁ」。

勝った!!
何だそのニヤケ面は?自分の子どもを想像するときの顔じゃねーだろ。児童ポルノかよ。

「あー!オレも早く結婚して○○さんみたいな幸せな家庭築きたいっすねー」

「いいんじゃない。でもZEN吉ってよ、」

来いっ!!

「もし結婚できたとしても、絶対別れるよな」。

完璧、、、。
こんなにも脚本通りいくことがこの世にあるだろうか?
よく噛みしめてから言おう。こんなにも気持ちいいセリフは一生味わえないだろう、、。

すぅーっと大きく息を吸い込んで、口の形を「オ」に整えたその時!!


「それオレや。オマエかいっ!!」


えぇーー!!!
まさかのノリつっこみぃぃーーー!!!

どこで覚えた?
キャバクラか?いや、そんなことより、、。

「えっ?冗談ですよね、、、。ホント別れたんすか?」

「ああ。一か月前に別れたわ」

「えぇ、、、。大変だったすね」

「はは。もう慣れたから、いじってくれよ。でもやっぱりZEN吉は結婚無理だと思うぞ。だってキャバ嬢にすらモテないじゃん」。



オマエもな、、、。


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