公営遊技場

きれいな文字の羅列ではないだろうか?競馬や競艇などがコレに含まれ、パチンコなどは含まれない。国が運営しているギャンブルなのだから、さぞかしクリーンなものなのだろうと思われがちだが、現実はただの世紀末である。根っからのギャンブラーではない私が、初心者なりに感じたことを述べていきたい。


私はパチンコを嗜む程度にしており、歯止めをかけるために軍資金を決めて遊んでいるのだが、それだと楽しむ間もなく終わってしまうケースが多々ある。そうなってしまうと、取り決めた軍資金を無視してひたすらATMを往復する「パチンカス芸人」になることが多く、それだとウケは最高なのだが身も滅ぶということで、違う芸風を身に付けるために私が目をつけたのが「競艇」であった。というのも私の周りは歴戦のパチンカス芸人であふれており、毎日最上級ネタをお届けして頂けるのだが、競馬をするものは少なく、競艇に至ってはほぼゼロであった。

競艇かぁ、、、。
確か美人レーサーも多いんだよな。しかも競馬と違って6艇しかいないからすぐ当たるだろ。面白そうだな。モンキーターン決めればいいだけだろ。


運良く出張先の近くに競艇場があって、同僚に連れて行ってもらうことができた。私は若い頃、ギャンブル=悪という固定観念を持っていたのだが、自分も嗜むうちに浅い二元論だったことに気付き、今の私は世間知らずの弱気な中年ギャンブラーといったところだろう。なので今回が生のレースを見るのが初めての経験であり、会場の雰囲気がどういうものかも楽しみであった。

イメージとしては男女比率7:3くらいでコミカルなゲームを鑑賞し終わった後に皆でハイタッチ。そこから二次会、三次会と交友を深めて行く。普段流れているCMを見る限りではそんな感じだろう。ところが会場に着くと、どうも様子が違うらしい。

建物は素晴らしい。まるでスポーツ観戦を楽しむようなアミューズメント施設なのだが観客が全員オッサンなのである。しかもキャップ着用率が五割を超えており、耳に鉛筆をかけ、手にはメモ用紙。今日何かの競りでもあるのかなと思わせるくらいどいつも玄人感を漂わせている。会場内部に入るとボートのエンジン音が鳴り響いており、それには私も感動を覚えたのだが、微かに匂う排ガスの香りに興奮状態のオッサンが何人か見受けられ、排ガスのせいなのか風呂に入っていないのか分からない油まみれのその姿にすっかり目を奪われてしまった。

これパチンコ屋と変わんないじゃん。
いや、下手するとそれより悪いかも、、。
いや、こういう雰囲気も好きだけどさ、、。CMとは全然違うよね。

もちろん、治安がもの凄く悪いというわけではないのだが、一言でいうと男くさい環境である。「マキバオー」に描かれている観客は何で全員裸なんだろう?という疑問を子供の頃から抱いていたのだが、それが今解決した。

つの丸先生。アンタ天才だよ。これ以上ピッタリくる表現ないよ。


競艇というゲーム性については初心者でも楽しめるのだが、これが意外と当たらない。当てたいのであれば黙ってオッズ通りに買うのをオススメする。ただ、1レース100円から賭けられるというのが最大の魅力であり、本格的な趣味にするのもアリかもなと思い、レース観戦後も自宅の近くにあったボートピア○○という場外競艇場に通うことにした。

このボートピア○○という存在は以前から知っていて、混んでいて入れないとか、めっちゃ楽しかったなどの情報が一切入って来なかったのが少し気がかりではあったが、そもそも私自身、競艇に興味がなかっただろと思い、車を走らせることにした。駐車場に着くと違和感を覚えた。

ん?やたらと古い車が多いな、、。
いや、別にオレの車も中古なんだけどさ、、。古いっていうかコレ整備不良じゃない?バンパー落ちかけてるよ。コレなんてウインカー割れてんじゃん。後ろの車にマジで迷惑だから。

おまけにこの誘導員。いくら空いてるからって座ってんじゃんねーよ。お前オレ入ってきた時、見向きもしなかったよな。気持ちは分かるけど表向きくらいシャキッとした方がいいぞ。

完全にこの会場はクロだな。負のオーラが蔓延してやがる。まあいい、とりあえず中に入ろう。

中に入ると負のオーラというか、かといって正でもない、病院のベッドのような枯れた雰囲気が漂っていた。もちろん皆、巨大モニターを観ながらレースを楽しんでいるのだが、独り言の延長のような会話をしており、一人のジジイがお気に入りのレーサーが負けた時「あ~、○○ちゃん今日生理だな」と真顔で言っているのを見て、声に出すなよ、という強い怒りを感じたのを今でも覚えている。私が想像するにこの老人たちは、ここを休憩所として使っている。ボートピア○○は入場料がかからず、冷暖房が効いている。パチンコ屋も同じ環境なのだが、休憩所と利用するのならこちらの方が広いだろう。罪悪感から遊戯をするにしてもパチンコだと3000円は必要だが、競艇だと300円あれば足りるだろう。

この想像を確信に変えたのが一人の老婆を見た時であった。片手に食べかけのパンを掲げながら、口を半開きにして寝ているそのババアの姿を見た時、私が思わず口にしたセリフは、

「世も末だな、、、」

であった。


世は超高齢社会。金が余っている老人もいるだろうが、その日暮らしの老人たちもたくさんいるだろう。公営ギャンブルを国が勧める理由は利益を出す目的のほかに、若者たちに未来の現実を受け止めさせる狙いもあるのかもしれない、、、。

皆さん、ギャンブルはほどほどに。